感染症対策は社会にとって最も重要な課題の一つです。一言に感染と言いましても、個々の個体の感染症にはじまり、病院内での感染症のアウトブレイク、国内のみならずアジア、 世界に広がった薬剤耐性菌の蔓延、さらには数年前の重傷急性呼吸器症候群(SARS)、そして新型インフルエンザといったグローバルな感染症に対してまでその対策は多岐に渡ります。
人々は古くから感染症と闘ってきました。感染症の撲滅をめざし、感染症の発症を予防し、あるいは伝播を防ぐように努めてきました。 感染症の中には天然痘のように撲滅に成功した例はありますが、鳥インフルエンザのように新興感染症として出現してくるものも少なくありません。ワクチンの中にも、麻疹や水痘ワクチンのように発症予防に有効なものもありますが、まだまだ発症予防の難しい感染症も多数あります。院内感染症対策も、伝播によるアウトブレイクを防ぐべく、これまで個々の病院の感染対策チームが中心となって活動して参りました。しかしながら、薬剤耐性菌が増加してきている現状では、これらの対策は個々の病院だけでは難しくなってきています。 |